現役時代はスーツが仕事着でしたので、数年ごとにスーツを更新し、それなりの数のスーツを持っていました。
もちろん、ヨソイキの服ですから、家に帰ったらすぐ普段着に着替えないと、ヨメに、
『汚れる』『膝が抜ける』『シワになる』
などと怒られました。
だったら、よくテレビドラマで見るように、着替えを持って来てくれればいいのに・・・。さぞかしいい気持ちだろうな・・・。
三十数年間、ヨメから優しい笑顔で、
『あなた行ってらっしゃい』とか『お帰りなさい』
と言われたことが一度でもあったかな?・・・ないない!
着替えを揃えてもらったり、上着やコートを着せてもらったり、脱がせてもらったことは?・・・ないない!
もしヨメがそうしてくれたら、
『よし、ヨメのために仕事頑張ろう。頑張って出世しよう』
と考え、人生が変わったかな?
おそらく『NO』だと思います。
なぜなら、就職してからずーっと、
『仕事は生活の手段にすぎない』『仕事は余暇の合間にしよう』『出世はおまけ』
と考えていたからです。
こんな不埒な考え?でも三十数年間大過なく仕事を続ける事ができたから不思議です。
『だから公務員は駄目なんだ』と言われそうですが・・・。
話を本題に戻します。
『仕事を辞めたらフォーマルな場所に出る事はまずない。もし行くとしたら、葬式と結婚式ぐらいだろうから、モーニングが一着あればいい』
そう考え、退職する5、6年前からスーツは一着も新調しませんでした。
ですから、残っているスーツはどれもこれもお疲れ気味のものばかりですが、着る機会がないのでまったく不自由は感じません。
ところが、今日、私がカジュアルズボンをはいていると、ヨメが、
『いくら家の中でも膝に穴が開いているのはまずいよ。お客さんが来ても恥ずかしくて出れないでしょう。これをはきなさい。どうせ、もうヨソイキで着ることはないし、普段はいたらいいよ』
と言って、ズボンを出してくれました。
見れば、何と以前仕事で着ていた高級?スーツのズボンでした。
確かにもう普段着としてはくしかありませんが、正直複雑な気持ちでした。
以前だったら、家の中でははく事を許されなかった(大事にされていた)スーツのズボンなのに・・・。
もちろん、言われるまま穴あきズボンとはき替えました。
しかし、かなりヨレヨレになったズボンをじーっと眺めているうちに、そのズボンに自分の姿が重なり、言いようのない淋しさがこみ上げてきました。
これまで何度も古くなったスーツのズボンを普段着としてきましたが、こんな気持ちになったのは初めてです。 人気ブログランキングを応援(クリック)してくださいね。
posted by tosshy at 03:10|
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