
5年前

5年前−2

「我が家の中で一番はっきりと自己主張するのは猫だ」という点で家族の意見が一致している。
推定年齢18歳以上である。
というのは、15年前、痩せ衰えた姿で我が家に迷い込んだ猫で、「見捨てるのは可哀想だ。どうせ老猫だから長生きしないだろう」と飼い始めた経緯があり、その時点で3歳に以上に思えたからである。
雌で名前はずばり「ネコ」である。
毎朝、誰よりも早く目を覚まして隣室の飼い主を起こしに来る。
もっとも、日ごろの態度の大きさからみて、我々人間を飼い主とは思っていないかも?
ひょっとしたら、ネコにとって我々人間は何でも言う事を聞く僕(シモベ)なのかもしれない。
うるさいので、いつもネコが寝ている居間と寝室との間の襖を閉めて寝ると、襖の外から人間が起きるまで「ニャー、ニャー」と鳴き続ける。結局根負けして起き出すことになる。
「お腹が空いた。餌をくれ」と鳴き、
「新しい水をくれ」、「トイレを掃除しろ」と鳴き、
「外に遊びに行くから戸を開けろ」、「帰ってきたぞ戸を開けろ」と鳴き、
要求が通るまで鳴き続ける。
そのしつこさは半端ではない。車でニセコに行くときも、ケージの中で「出せ、出せ」と2時間半鳴き続けている。
ケージを叩いて「うるさい」と叱ろうものなら、逆切れしてさらに激しく鳴く。...で、結局無視する(正しくは、我慢する)しかない。
餌の好みもうるさく、同じ餌を2回続けるとまず食べない。
ちょっと臭いを嗅いだだけで人の顔を見上げ、「他の餌をくれ」と鳴く。
最初は、どうせ腹が減ったら食べるだろうと高を括っていたが、なかなかしたたかで、水を飲んでとことん抵抗する。
その挙句、ゲーゲーとまるであてつけるように吐き始めるので、仕方なく別の餌をやることになる。
いつもトイレに入ってから遊びに行くし、外から帰ってくるなりトイレに入り、トイレを済ませるとすぐまた出かけることがある。どうやら、外で用を足すのが嫌いらしい。
このようにどうしようもないくらい我侭であるが、結構プライドが高く、他の猫(このネコ以外に時期は少しずつずれているが合計3匹猫を飼っていた。二匹は交通事故で死亡し、もう一匹は家出したまま戻ってこなかった)がいる前では、決して人間に擦り寄ったり、人間の膝の上に上がろうとしなかった。
リキ(犬)との力関係は、実にあっけなく決まった。
リキが生後40日で我が家に来たとき、すでにネコより大きかったが、じゃれようと近づいたリキに、ネコがいきなりパンチを喰らわせたため、リキがキャンと鳴いて逃げ出してしまった。
以来11年間、この力関係は変わる事がない。今でもネコに威嚇されると、体重が10倍もあるリキが部屋の隅で小さくなっている。
さすがのネコ様も年には勝てないらしく、ココ1、2年で足腰の衰えか動きがスロ−になった。また、すっかり痩せ細り、白髪が増え、毛の艶も悪くなった。
ネコ様に問う。君は後何年生きるつもりなの?
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年寄りの心を癒してくれるのはやっぱあれでしょう。嘘をつかないペットでしょう。
私がまだ短大生だった20歳の頃、お会いしたことがあります。
今から十数年前ですね・・・。
まだまだお元気なご様子。嬉しいです。
我が家の猫たち(11歳・3歳・1歳)も長生きしてくれますように・・・。
ネコ様でもこれだけ生きしているのですから、部屋の中で飼っているペットはきっと長生きすると思います。